映画「Apollo 13」にある誤訳 “Close Main Bus B”

ここで取り上げるのは、明らかな知識不足に基づく「誤訳」だ。

アクション映画では台詞の意を取って別の言い方の日本語に置き換える、いわゆる意訳の部類ではない。

私が映画をDVD等で閲覧する時は、自分が良い作品と思われるものは、英語字幕と役者の発音とを比較して英語版の台本を作成したうえで、これと対照できるように日本語字幕も書き出しておいている。

かなり出鱈目な翻訳をしているのが普通みられることだ。何故ならば、役者の台詞の意味を画面が切り替わるまでに1行、または2行で纏め上げなければならないから、残念なことではあるけれど仕方のないことではある。

しかし、”Apollo 13″ の場合は許しがたいほどに、徹底した誤訳が何箇所か散見する。

その一例として、この映画の最大の難関である”Main Bus” に電力を再投入して地球への帰還のためにコンピュータを再起動させなければならない重大な山場で、起動しなければ彼ら13のクルーは地球には戻れない。

そういう緊迫した場面で、誤訳が出現する。このミスは許しがたい。その理由は二つある。何故ならば、それまでのストリー展開を知って入れさえすれば「切断」という訳をしたとしたら、それは少々おかしい。
また、もう一つは「切断」して、コントロールパネルや室内灯が一斉に点灯をし始めるという奇妙な字幕だ。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._Eng._1

字幕は、もともとこうなっている。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._Eng._2

メインバスBのスイッチを入れようとするが・・・。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._Eng._3

水滴だらけの配電盤(メインバス)に触れるのをためらう。何故なら、アポロ1号で配電盤の漏電から火災事故が発生して、3人のクルー全員が死亡しているからだ。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._JapaneseTran._4

これが誤訳した一連のシークエンス。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._JapaneseTran._5

Apollo13_Close_Main_Bus_B._JapaneseTran._6

「切れ」と訳している。

実際に「切る」と・・・。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._JapaneseTran._7

電灯が点灯し始める。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._JapaneseTran._8

消えている照明も・・・。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._JapaneseTran._9

点灯する。

Apollo13_Close_Main_Bus_B._JapaneseTran._10

ここでも誇らしげに「閉鎖」と訳している。呆れたものだ。

これで「Close」が閉鎖、切る、という意味ではなく、180度意味が違っていて、解放、またはONの意味がある。

他にも、電気関係の用語でWikipediaでもNoteされているように、オーバーロードを重荷と訳したり、電気用語については、かなり怪しい翻訳の連続だ。

更に不思議なのは、日本の製作者が、このミスを見逃していること。英語がまったく知らないでも「切った」のに、室内灯が一斉に点灯し始めるという奇妙なことに気が付かなかったこと。
結構、安直に作っているのかもしれない。

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